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    東京を拠点に活動するインディーポップ・バンド Boyish、約1年半ぶりとなる新作「Sketch For 8000 Days Of Moratorium」を 11/26 リリース!メンバーチェンジを経て、完全なスタジオ・ワークスだった前作とは打って変わり、ベッドルームとスタジオを行き来しレコーディングされた本作。

    80年代から90年代におけるC86等のUKギターポップ、Creation、Sarah、Factory Records などのバンドから多大なる影響を受けているが故、英詩にもこだわっていた前作『Everything You Say』であったが、今作では英詩を封印し、全編日本詩にて歌い上げられている。

    アルバムは、タイトかつドリーミーなギター/シンセで塗り固められたウォール・オブ・サウンズで、8000日の心象風景を描くコンセプト・アルバムとなっており、より創造性の増したドリーム・ポップを聴くことが出来る。海外レーベルからの作品のリリース等も経て、グローバルに活動を広げる彼らの意欲作が遂に完成した。

    Boyish が 1st アルバム『Everything You Say』以来1年8ヶ月ぶりとなる 2nd アルバム『Sketch For 8000 Days Of Moratorium』をリリースする。同作は全英語詞だった前作から一転、全日本語詞に変わるという誰が聴いてもハッとなる強烈な変化がある。さらにメンバーも移り変わり、いまやトリプルギターにシンセサイザーの入った6人組に。今回の大きな変化には聴き手も解釈に混乱することだろう、ならば本人に語ってもらおうということで、バンドの中心人物・岩澤とベースの馬淵、そして前作には参加していないリードギターの西村を交えた3人にインタビューを試みた。

    ーー前作からの変化の大きさに戸惑っている部分もあるわけですが、ひとまずアルバム自体はかなり良いものに仕上がっていました。まずバンドとしての状況の変化を聞かせてください。

    岩澤:前作で参加していたドラマ―の井上さんが、仕事の関係上バンド活動を継続するのが難しくなり、脱退しました。あと、一時的なメンバーとして LUCKY TAPES などで活躍している濱田翼さんや、穂崎結実(LakeMichigan / TOKYO SAPIENS) にもバッキングコーラスやシンセサイザーで入ってもらっていましたが、結局は僕と馬渕と井坂の3人になって、この後どうしようとなったところで、新しいドラムが入って・・・。

    Mav:僕のサークルの友人で、一緒にバンドを組むことも多い酒井くんが入りました。

    岩澤:彼の加入によって、Boiyshの音楽性は少しずつ変化していきました。西村は、別プロジェクトでギターを弾いてもらっていたのですが、それが非常に良かったので、そのまま Boiysh に加入してもらいました。今作はこの5人で収録したのですが、その後、中邑君もシンセサイザーとして加入していて、ライブは6人でやっています。

    ーードラムが変わった影響は確かにあるなと感覚的に感じていて、竿モノはギターポップ感があるのに、ドラムがバタバタしていないから、新鮮に聴こえるんですよ。

    岩澤:実は今回ギターポップはともかく本格的なネオアコをやる気はあまり無くて。井上さん (1st録音時のドラマー) が抜けた時点で Boyish は自分の中で一度終わってるんです。だから、酒井さんが入ったことによってインディーポップ・ロックバンドにバンドが変わった気がします。録音的な面からいうと、ベースとドラムを一発録りして、ギターを後から載せたりしましたね。

    Mav:酒井くんは元々インディーの人じゃないからね。僕とバンドやってるときはナンバガのコピーとかだったし。

    西村:「ドリームシアターになりたい」人で、好きなドラマ―はマイク・ポートノイですからね。

    ーーそれはカラーが違いすぎる(笑)。今作から大きく日本語に舵を切った理由はなんですか?

    岩澤:日本語でやったプロジェクトがある程度の評価を得られたので、Boyish でもやってみようかというのがきっかけですね。あとは元々1stのあとニューウェーブ路線のものを作ってたんですけど、パソコンに入っているデモが消えてしまったことがあって・・・。

    ーーアクシデントも大きく影響したと。

    岩澤:どちらにしろ広く聴いてもらいたかったです。1stがニッチすぎたと思ったこともありますし。今回日本語詩ということでガッカリされないよう試行錯誤は結構しました。

    ーー初めてトリプルギターの Boyish を見たときに、以前に比べて強烈にメロディが立っていた印象を受けました。「スケッチブック」のイントロに入っている洪水ギターをライブでやろうと思ったら3人は必要だし、一気に音楽の幅が広がりましたね。

    Mav:ダイナミズムは間違いなく増しました。

    岩澤:前作は「The Smiths に影響を受けたバンド、からさらに影響受けた」みたいなコンセプトなので、視野を意図的に狭めていました。そうではなく今回は恥ずかしがらずに素直に、NUMBER GIRL やはちみつぱいのような王道的で不変的なものをやりたかったんです。かなり大げさに言うとバンドが今「ネオアコバンドにアヒト・イナザワが加入した」ようで楽しかったのもあります。

    あとはちみつぱいは、この年になってから聞き直したらどハマりしてあの雰囲気にグッと来ていて憧れています。それとサウンド面で言うなら The Pains Of Being Pure At Heartの『BELONG』みたいな分離の良い音、厚みのある感じを出しつつ、リヴァーヴ感を加えた音にしたくて、ギターも十何本録音したり、録るフレーズごとにギターを変えていたり、所謂ウォールオブサウンドを狙いました。

    ーー今後は英語詞と混ぜてみたり、アルバムのボーナストラックのようなインストも入れたり、次からはシンセを大きく使うこともできるわけで。色々仕掛けていくつもりはある?

    岩澤:正直今ストックは無くて。今作で使い果たした感じではあります。でも、最近色々機材を買い足したので、リリース関係のやりとりがもう少し落ち着いたらエレポップやシンセ寄りの ... 今のバンドで言うなら The Radio Dept. みたいな曲を作ってみたいかもです。

    (取材・文 = 中村拓海)

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