日本のアーティストという情報がなければ、"UKの若手バンド!?" と感じるくらい、緻密なアレンジで構築されたサウンド。海外インディーロックの音楽性とスタイルを正統に受け継ぎ、エレクトロ、クラブ・ミュージック、ミニマル・ミュージック、インディーギター・バンドから影響された様々な解釈を加えた一枚。卓越したソングライティングが光る、Acidclank 待望のデビューアルバムが遂に完成。
ーーAcidclack のバックボーンについて教えてください。どんな音楽やバンドから影響を受けてきましたか?
最初の入り口は Oasis や The Stone Roses などのブリッドポップ・マッドチェスターでした。そこからは関連あるバンドであったり、まったく違ったジャンルを聴き漁ってきましたね。特に好きなものとしては70’sのプログレッシブロックが好きで、King Crimson や Soft Machine などをよく聴いてきました。バンド以外となると、テクノ・IDMがすごく好きです。Aphex Twin はこれまでで一番聴いてきたアーティストだと思います。他にもポストパンク、USエモ、ハードコア、アンビエント、ノイズ等のいろんな影響は受けてきました。とにかく時間があれば自分の知らない音楽を掘っていたのでアングラな音楽の影響も大きいですが、基本的には90’sのギターロックあたりが自分のルーツになっているかと思います。
ーーAcidclack のメンバー構成を教えて下さい。
現在はギター、ベース、ドラムに僕を加えた4ピースです。元々最初は自分1人で宅録しながらサウンドクラウドに曲を公開するなどして活動していました。ソロで弾き語りやPC持ち込みでライブはやっていたんですが、バンド編成でもライブがやりたいと思いメンバー募集をかけて今のメンバーが集まりました。
アルバム収録曲「Lionel」
アルバム収録曲「Rocks」
ーーデビューアルバム『Addiction』はマッドチェスター、UKロックからの影響を感じました。アルバムのコンセプトがあれば教えて下さい。またどのような経緯で、今のサウンドに辿り着いたのでしょうか?
アルバムを作るにあたって、1つのジャンルに絞らずに曲それぞれに個性を持たせるように意識しました。同じような曲調が続くアルバムってまとまりはあるかもしれないけど、少し退屈に感じることがあって。このアルバムでは曲ごとに強いコンセプトを持たせようとしました。なので、アルバムというよりミックステープ感覚で聴いてもらっても良いかもしれません。収録曲にはマッドチェスターやUKロックを意識した曲もありますし、それらは自身のルーツでもあるのでサウンドとして印象に残るのかもしれないです。
ーーレコーディングについて教えてください
すべての曲にはまず僕が宅録で制作したデモがあって、スタジオレコーディングではほぼその通りのアレンジでレコーディングしています。もちろん演奏は各メンバーによるものです。グルーヴ感やサウンドについてもある程度デモを参考にしていますが、曲によってはバンドで合わせたときに宅録デモと雰囲気が大きく変わるものもあります。結果的にデモ以上の良い曲ができたりするので、バンドレコーディングの良さを活かすようにしました。
ーーアルバムには The Drums、DIIV などに代表されるサーフロック・ナンバー「Wrong」が収録していますが、USインディーからの影響はありますか?
USインディーの影響は大きいです。Captured Tracks のバンドが好きで、DIIV や Craft Spells などのドリーミーなサウンド、ノスタルジックな雰囲気は今の Acidclank のサウンドにも繋がっていると思います。
ーーアルバム『Addiction』収録曲のコンセプトやテーマがあれば教えて下さい。シューゲイズ・テイストな「Turning」、ギターラインが印象的な「Feels Like August」、ラストを飾るスペーシーな楽曲「Overdose」、この3曲のコンセプトはどうでしょうか?
「Turning」はおっしゃるとおりシューゲイザーを意識しています。「Feels Like August」はUSポストロック・エモから影響を受けて5年前くらいに作った曲です。アルバムラストの「Overdose」はこのアルバムのメインテーマのつもりで収録しました。この曲ではミニマルなリフの繰り返しやシンセ・ギターノイズでトリップ感をできるだけポップに表現することを試みました。「Addiction」や「Overdose」から連想されるような事が、このアルバムのテーマになっています。
新たに公開された収録曲「Overdose」のMV
ーー大阪を拠点に活動されていますが、大阪のインディーズシーンはどのように映りますか?
大阪はUSインディーやドリームポップなどの洋楽を意識したバンドがとても多い印象です。個人的な考えですが、大阪はライブハウスに人が集まりにくくて、SNS等のインターネット上でシーンが作られている気がします。そういった意味でも HOLIDAY! RECORDS のシーンへの影響はかなり大きく感じますね。ライブがかっこいいと思うバンドがそこまで知られてなかったりするので残念に思うときもありますが。
ーー昨年大学を卒業され就職されたそうですが、仕事をしながらの音楽活動に何か新しい変化はありましたか?
まだそこまで大きな変化は感じていませんが、今後時間的な制限は増えてくると思っています。メンバー全員社会人なので、バンドとしては動きづらくなるかもしれませんが、活動スタイルは柔軟に変えていくつもりです。
ーー昨今スムースなシンセポップ、R&B、ソウル、ヒップホップなどが国内外音楽シーンのトレンドになっているように感じます。インディーロックはかつて盛り上がりからすっかり影を潜めてしまっていますが、今の音楽シーンをどのように感じますか?
個人的には全然良いと思っていますし、流行っている音楽も好きです。今では僕みたいに宅録制作する人もたくさんいて、作れる音楽の種類も可能性も広がってきています。これまでギターありきの荒削りなロックがイメージだったインディーズシーンが形を変えていくのは当然だと思いますし、むしろ盛り上がっていくのではないかと感じます。今時「ロック」という言葉自体少し古臭い気もしますし。やりたい音楽を自由にできる のがインディーズだと考えています。
ーーHOLIDAY! RECORDS さんも取り上げていた、先日公開された新曲「Ghost Record」は、Acidclank の新機軸に感じました。アルバムはUKロック、USインディー、エレクトロ、シューゲイズ、ギターロックなど要素を取り入れていますが、新たなアプローチを取り入れ進化し続ける、そのクリエイティブの源泉はどこにありますか?またどんなものからインスピレーションを得ていますか?
曲を作るときはいつも実験して遊ぶような感覚で制作しています。「Ghost Record」は、レコードをサンプリングしてビートを作りながら遊んでいた時にたまたま出来た曲です。こういう作り方はバンドでのセッションではなかなかできないと思うので、一人で制作できる自由度や柔軟さは強みだと思っています。また、流行りや最新の音楽を聴くということは大切にしています。今は Spotify や Apple Music のおかげで、今まで以上に簡単に最新の音楽を聴くことができるので、新しい音楽を取り入れていくことはインスピレーションの源になっています。
ーー今後の活動について、ビジョンなどあれば教えてください
今後は楽曲制作に力をいれていきたいと思っています。前回と似たようなことを続けるのは嫌なのでリリースごとに作風は大きく変えていくつもりです。そのためにはバンドっていう型にはまる必要も無いと思っていますし、活動スタイルも柔軟に変化させ続けたいです。具体的なビジョンは特に決めてないですが、活動を始めたときから常に『得体の知れないもの』になろうとしています。ジャンルによってバンド名や名義を使い分ける方も多いですが、僕はあくまでも「Acidclank」としてできるだけ多彩な表現をしていくつもりです。とにかく、これまで通りに好きなように音楽を作り続けたいです。
ーー最後に Acidclack は宅録時代に bandcamp で楽曲をリリースしていますが、今年 bandcamp でチェックして良かったアルバムなどあれば教えてください。
Acidclank がピックアップしてくれたのは、アンビエント作品で知られる The Caretaker (ザ・ケアテイカー) のシリーズ前半をまとめたコンピレーション『Everywhere at the End of Time Stages 1-3』でした。
アルバムリリースを記念した、Acidclank 1st Album "Addiction" Release Party が 9/8 (SAT) 京都 nano にて開催!
open 18:00 / start 18:30
[adv] 2,000 YEN
act:
- Acidclank
- 揺らぎ
- nihon alps
- ズカイ
チケットのご予約
http://acidclank.tumblr.com/live